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『おっぱいなんかいらない?』
06/15/2003配信


「切ってくれ〜」
「もうおっぱいなんかいりません。切ってください、先生」
「もうミルクでいい、こんなに苦しいんだったらおっぱいあげなくていい」
       ●○
4月末、
あたしはこんなことを叫んでいた。
今、あたしの胸に、おっぱいはある。
切ってなんかいない。
でも、
あのときは、
本当に切ってくれ、切ってくれ、痛くて痛くてもう死んじゃう……、
と思った。
       ●○
4月のある晩、
居間であたしはのた打ち回っていた。
自分の左のおっぱいが痛くて痛くて、触ることもできない。
HANAが生まれて2週間。
飲ませ方が下手っぴで、
乳首の先っちょが傷んでしまい、血や膿が出てしまい、
直接飲んでもらうことができず手で搾って哺乳瓶であげていた。
それでも足りず、ミルクとの混合にしていた。
その晩もちょうど搾ろうとしていたとき、
パンパンにおっぱいが張ってしまい、硬くなってしまったおっぱいを
自分でちょっとも触ることもできなくなってしまっていた。
床でジタバタ転げ周り、もうどうすればいいのー、と。
darlingが心配して、
出産した助産院へTEL。
夜10時過ぎ。
すると、助産婦さんが「これから来れる?」と。
       ●○
助産院に着くと、
助産婦さんがおっぱいを搾って出してくれる。
乳管というおっぱいの通り道がつまってしまっていて、
おっぱいが貯まりまくっていたのだ。
「乳腺炎になりかかっているね」と。
「何? 乳腺炎て?」
「ひどいとおっぱいを切ることになるのよ」
助産婦さんはさすが仕事だ。
あたしが痛くて痛くてちょっと触られるだけでも痛いのに、
そのおっぱいの中身を出すべく
搾ってくれるのだ。
あたしはベッドの上でのた打ち回り、涙を流し、
大声でギャーギャー叫んでいた。
出産のときでもこんなに叫ばなかったのに。
HANAもdarlingも着いてきてくれてたんだけど、
HANAは家からずっとカゴの中で幸い寝てくれたまま。
dalingはただただあたしが叫ぶ横で手を握らせてくれていた。
「なんで? なんで? なんでこんなことが待ち受けているの?
あたし何か悪いことした?」
子どもが予防注射を受けるときのように、
あたしはギャーギャー泣きまくった。
陣痛や出産より痛い。
それでも大暴れするあたしに構わず助産婦さんは
「痛いねー、痛いねー、もうちょっと搾っておこうねー」と。
さすが、プロ。
       ●○
その夜は3人で助産院に入院した。
出産以来10日ぶり。
真夜中にまた1度助産婦さんが部屋にきて搾ってくれた。
次の日の昼過ぎに退院。
その日から、あたしとHANAの壮絶な(?)おっぱいトレーニングははじまった。
       ●○
乳首の先っちょの傷んでいるのが治るまでは、
手で搾って哺乳瓶であげる。
吸われると痛いから、直接吸わせるのがかなり怖かったけど、
その後1週間してから、吸わせるようになった。
HANAに大きな口を開けさせ、
奥までおっぱいをくわえさせる。
これがなかなか難しくて、
何度もくわえ直しをさせた。
「はい、おっぱいを飲む練習だよー。
HANAがちゃんと口を大きく開けないとまたおっぱいを飲めなくなるよー」
と言い聞かせて、2人でがんばった。
       ●○
こうして1ヶ月間、がんばった末、
今ではお互いうまく飲める(飲ませられる)ようになった。
ところで、
おっぱいのメカニズムを知っていますか?
まず、
おっぱいは、白い血液。お母さんの血液とほぼ同じものらしい。
知ってた?
   ・乳腺胞  母乳の生産と分泌を請け負う
   ・乳管    母乳を運ぶ役目と一時貯蔵しておく役目
   ・乳口    母乳の出口
妊娠すると乳管が枝分かれして乳腺胞を増やし、
赤ちゃんが生まれて
胎盤(臍のをを通して赤ちゃんとつながっている栄養の入っているプレート)が
体外に出てくると、乳汁生産ホルモン『プロラクチン』が活発に働きはじめ、
乳腺胞の中で血液中の必要な栄養と免疫物質を集めて母乳を作り出す。
(参考:良い子が育つ 健康母乳食/山西みな子監修/徳間書店)
そうなのだ。
なんて不思議?
HANAが生まれたとたん、
おっぱいが出るようになったのだ。
魔法のおっぱいだなあ。
       ●○
おっぱいは、
よくある男性誌の巻頭グラビアに載っているようなのが
おっぱいじゃない。
でっかいおっぱいがいい、とか、
形がどうのこうの、とか
セクシーだとか、そういうのがおっぱいではない。
もっと奥が深く神聖なもの。
あたしはこの一件を経てそう思うようになった。
       ●○
最近は、
小さな口で一生懸命おっぱいを飲むHANAを見ていると、
あ〜、おっぱい切らなくてよかった、
飲ませられてよかった〜、と幸せ気分になるあたし。
最初は痛くて痛くてもうおっぱいなんかあげなくていい、
って思っていたけど。
今はおっぱいをあげている時間がいちばん幸せかもな〜。
これって母性愛? あたしにもついに母性愛が目覚めた?
なんちって。
Anyway,
一度はあきらめようとしたおっぱいだったけど、
HANAとがんばってよかった。
「あきらめるのは、まだ早い。もうちょっとがんばってごらん」
助産婦さんがそう言ってくれてよかった。
今ではかなりの量のおっぱいが出るようになり、
まわりもうらやましがるほどに。
ミルクは今は0(ゼロ)。
いわゆる「完全母乳」になった。
これからもいろいろあるかもしれないけど、
ここであきらめたら終わりだ、がんばろう、と
今回のことを思い出してやっていけそうだ。
       ●○
ちなみに、
この乳腺炎は、
妊娠直後に結構な数の新米母さんがなるみたい。
特におっぱいの出がいい人は。
みなさん、お気をつけあそばせ。
あたしは妊娠中、妊娠本はいっぱい読んでいたのだけど、
出産後のことはまったく勉強していなかった。
だから、乳腺炎、ってものがあること自体、知らなかった。
それからは子育て本とかサンゴの体本とか図書館で借りて
読み出したよ。
生まれたらこっちのモンだ、楽チンLIFEになるだろう、って思っていたけど、
とんでもなかった。
出産してからのほうが辛いというかタイヘンだな。
楽しいことのほうが多いけど。
       ●○
出過ぎるおっぱいもまたよくない?
そんな話もまた今度しますね。
お楽しみに〜☆
Thank you for coming.
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byMerryTOCO

(C)MerryTOCO
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